今日、ご紹介する本はこちらです。
岡田淳 作・絵
『びりっかすの神さま』
この本の主人公、木下始くんは4年生。
お父さんを亡くして、お母さんと一緒にこの町へ引っ越してきました。
始くんが転校してきたその日、4年1組であいさつしようとしたときに、
不思議なものを見てしまいます。それは、小さな小さな男の人でした。
その男の背中には小さな翼があって、始くんの目の前をゆらゆらと飛んでいます。
そして、始くんは気づいてしまいます。
不思議なことに、その男の人はテストの点数が一番低い子にまとわりついているのです。
その男の人は、テストの成績だけじゃなく、かけっこや給食を食べるスピードが
”びり”の生徒にくっつく”びりっかすの神さま”だったのです。
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作者、岡田淳さんの名前を耳にしたことがある方は、
たくさんいらっしゃるでしょう。
岡田淳さんの著書は多くありますが、児童書では、
『二分間の冒険』や『放課後の時間割』などが有名どころかもしれません。
この『びりっかすの神さま』は、一度、手に取ってしまえば、
そのおもしろさに惹かれ、勢いよく一冊読み切ってしまう子が続出した本の中の一冊です。
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岡田淳さんは、たくさんの児童書を書いていらっしゃいますが、
主人公が小学生の作品が多く、お子さんが読んで共感できるような作品が多いと感じます。
今回の『びりっかすの神様』も、主人公は4年生の男の子です。
この本の対象年齢は、小学中級からなので、
ちょうど本を手に取る年齢のお子さんと主人公の始くんは同じ年ごろなのです。
学校での出来ごとが描かれているこの本を読めば、
”あるある!”とか”わかる!”なんて、声に出して共感してしまう場面が多くあります。
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子どもたちが読書を楽しめるようになるには、まず、
身近なところや場面にあるものを題材にしている本を選ぶことが大切だと感じています。
登場人物に親近感を覚えれば、「この先この子はどうなっちゃうんだろう」という
好奇心が芽生え、話の先を読んでいきたいという気持ちが現れてきます。
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ちょうど小学3・4年生ごろまでに読書することに抵抗がなくなってくれば、
その先の人生において、読書をする機会をまったく作らなくなるということは
ほとんどないでしょう。
読書体験は、文字を目で追うこと、漢字や語彙を身につけることだけではなく、
「考える力」を身につけることができます。
「自分の頭で考えること」、「誰かの立場に立って考えること」など、
読書体験には、その後の人生に大変重要になるエッセンスが含まれているのです。
新型コロナウイルスが蔓延している現在においては、
”ステイホーム”ということで、
家で余暇を楽しんでいるお子さまも多くいらっしゃると思います。
テレビやゲーム、漫画だけではなく、
この機会に生活の中にほんの少しの読書時間を取り入れ、
本に触れる機会を作ってみてはいかがでしょうか。
初めのうちは、まず、保護者の方がお子さまに渡す本を読み、
本を読み終わったお子さまと感想を語り合うことで読書の楽しみを共有できると思います。
お子さまが選んだ本を交代で読むのも楽しいでしょう。
楽しく読めた本や、楽しく読めなかった本など、
いろいろな本のことを教えていただくのも楽しい仕事です。
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この本は、東京都大田区立図書館の書架で貸し出されていることが確認できています。
お近くの図書館などでも貸し出しされているかもしれませんので、確かめてみてください。
ご購入される方のために、以下にAmazonの販売ページへのリンクを貼ります。
よろしければご活用ください。
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『びりっかすの神さま』岡田淳
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