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子どもたちの”生きる”基盤をつくるために

澤口 佐弥香 (さわぐち さやか)


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この塾を開講するに至った経緯

これまで様々な角度から”日本語を使いこなせるようになること”に関わり指導してまいりました。

以下に、大まかなその遍歴を記します。

1.日本語が話せるようになること

大学院では、日本語母語話者の言語発達について研究しておりました。日本語母語話者とは、日本語を第一言語として学習する人のことです。わたくしは、主に日本人の赤ちゃんがどのように日本語(母国語)を話せるようになっていくのかその過程を専門としておりました。特に着目して研究していたのが、“どのような『環境』におかれている赤ちゃんが早く日本語を話すことができるようになるのか”ということでした。ほかの子どもより、早く話せるようになることが子どもにとって有利に働く/優れているかどうかは別として、どのような環境要因が子どもの言葉の成長を促すのかを知りたいと考えて研究しておりました。



2.読む+聞く→考える=書く

大学在学時から大手作文教室で作文講師として勤務しておりました。作文指導に加えて読書指導にも取り組んでいる教室です。その教室に通う生徒さんには、小学校一年生から大人まで広い範囲年齢の方がいらっしゃいました。その他にも帰国子女や、インターナショナルスクールに通っている子、軽度発達障害を抱えている子などが通ってきていました。生徒さんの様子を観察し、それを踏まえて課題を設定します。子どもたちそれぞれに適した読み聞かせ、選書、作文指導ときにはディベート/ディスカッションを通して、子どもたちが思い通りに読み書きできるようになるよう心がけて指導にあたっていました。この教室では特に、質のいい本を読み、適切な指導の下で書く練習をすることの意義を学びました。



3.外国語としての日本語

中国 国家重点大学の外国語学部で、日本語講師をしておりました。この大学では『日本語会話』の授業を担当しておりました。中国人講師行う『日本語』の授業で、学生は日本語での読み書きを教わります。『日本語会話』の授業には、習った日本語表現を使いこなし、それを軸により実用的な表現で会話が出来るようにするという役割がありました。自然な発音やイントネーションで、その場に適した日本語を話す。外国語である日本語を中国人生徒がどうすれば聴き取れるになるのか、話せるようになるのかを授業の中で模索しておりました。中国の外国語教育の基礎は、文章を暗唱することです。知らない単語や表現もまるごと暗記することで意味や使い方を理解することができます。実際、わたくしが指導した学生たちはかなり日本語を使うことができました。ですが、いざ会話となると応用が難しく、言い回しを知っているだけで適した表現で話せるようになるわけではありません。『日本語会話』の授業では様々な場面状況を仮定して、日本語で対応する練習を設定してきました。



4.『母語として育てられなかった日本語』

私立中学校にて、帰国子女対象の日本語補習授業の講師を務めていました。このクラスでは、英語圏以外からの帰国生も多くいたので、英語課題を基本に使い翻訳していく形で学ぶ形式の授業ができませんでした。日本の学校でいう英語の授業のように教えていくことが難しかったのです。多くの生徒さんは日本語を話すことができましたが、中にはたどたどしい子もいました。みな読み書きの力は不十分でした。カタカナや漢字が怪しい子がほとんどです。字を読むことができる生徒が文章を読んでも、内容の理解が追いつきません。暮らしていた地域で使われていた言語とごちゃまぜになってしまっている言葉を整理し、文字の指導をしながら、日本語で読んだり書いたり出来ることを目標にした指導を行っておりました。



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●教室の理念●


わたくしの関心は常に、どのような環境が子どもの“生きる力”を育てるのかにあります。

様々な立場の人が日本語を使えるようになっていく過程を見てきて一番に感じたこと。

それは、”『生きる』ということが、自分とコミュニケーションを取り続けることだ”ということでした。

多くの場合、わたしたちは言葉を使ってコミュニケーションをとります。

相手が伝えたい内容を読み取り、聞き取って、考えて、話したり、書いたりしてまた相手に伝えているのです。


では、普段日本語に触れる機会を多く持ち、日本語を使って生活しているのに、

なぜ日本語を使った読み書きが苦手な子どもが出てくるのでしょうか。

それは“生きる力”を育む環境が身近にないからです。

日本人だからといって自然に日本語が使いこなせるようになるわけではありません。

『環境』というのは、子どもがおかれている生活環境だけを指すわけではありません。

子どもに外側から働きかけることもこ大切な環境のひとつです。

もし周囲の人々みんなが同じ言葉を使えるとしても、相手の意図を理解し考えを伝える力がなければ、

自分の思っていることを正確にを伝え合うことができません。

この教室では、作文指導・読書指導を通して、子どもたちが日本語を使いこなせるようになるようにトレーニング

します。そして、子どもたち一人ひとりが”生きる力”を身につけられるようサポートしてまいります。